一般社団法人平田青年会議所
2023年度理事長
宇賀 務
言・動・魂
〜より良い未来に向けて、全力でぶつかろう〜
2023年度 一般社団法人 平田青年会議所
理事長 宇賀 務
【はじめに】
このまちには人口減少、少子高齢化、空き家、雇用、後継者不足など様々な問題がありますが、我々は何年この問題に向き合ってきているのでしょうか。このまちは以前から進歩していないのでしょうか。それともこれまで多くの事業を行ってきたからこそ今この状況で済んでいるのでしょうか。人によって考え方、捉え方は様々ですが、物事を同時に進行してみなければ本当の結果を知ることはできません。ただ、私は後者だと信じています。
私は青年会議所に入会する前「努力に対して良い結果が出るとは限らないが、努力した結果が今後必ず出ると信じて行動しなさい」と教えていただきました。結果が出るのは5年後、10年後、またはそれ以上かもしれません。青年会議所は単年度制であり、継続事業もあれば、単年度で終わる事業もあります。それぞれの運動は目的を持って行っていますが、単年度での良い結果を求められるがあまり、失敗を恐れ挑戦することをやめてしまっているようにも感じます。
私は青年会議所に入会し、先輩から青年会議所は失敗ができるところだと教わりました。仕事で失敗をすれば大損失に繋がる場合もあります。そのようなことがないように青年会議所では、調査、研究、背景、目的、内容、効果、実行、検証などを一通り学ぶことができます。しかし今では事業実施にあたり良い結果を報告しなければならないという思いが自然と働き、果敢に挑戦することをやめてしまっているようにも感じます。失敗ができる青年会議所だからこそ挑戦をすべきです。その結果失敗したとしても堂々と報告しましょう。そしてどのような原因があったのかを検証し、次に繋げていきましょう。
【言・動・魂】
私が大事にしていることの一つに「言霊」があります。古代、言葉が持っていると信じられた神秘的な霊力のことです。誰もが一度は言葉のもつ力を感じたことがあるのではないでしょうか。私は自分に元気がないときには、「元気!元気!」と言葉に発して言い聞かせます。物事が出来ないと感じてしまったときには、自分には「できる!できる!」と言い聞かせます。捉え方によっては楽観的と思われるかもしれませんが大事なことです。
今年度はこの「言霊」をあやかり、スローガンを言・動・魂としました。「言」は言葉を表し、「動」は行動を表します。自分で発した言葉、行動には責任をもち、そこに霊力ではなく「魂」をぶつけてください。魂をぶつけるからこそ、本気になります。本気になるからこそ、結果が出た時に、嬉しさ、悲しさ、悔しさなど感情が溢れます。それをメンバーで共有しましょう。そして語り合いましょう。その行動がより良い未来を創っていくことに繋がります。
【平田未来ビジョンの実現に向け】
2022年、創立55周年を迎えた年に、私たちは地域の方と共に平田未来ビジョンを策定致しました。好循環でつながる未来の平田を根幹として、「若者・子供」「医療・福祉」「歴史・伝統・文化」「経済・観光・産業」「自然・資源」と5つの分野に分け、それぞれにビジョンを掲げ未来へ進んでいこうと誓いました。
「誓う」。表現として格好はいいですが、誓っただけでは口約束でしかありません。行動なくしては結果もありません。それこそ「言・動・魂」です。この度の平田未来ビジョンの策定にあたり、様々な分野が繋がり好循環を生み出していることがわかりました。そしてそれは逆も然りで、悪循環も生み出しています。我々はこの悪循環に目を向け、断ち切り、好循環へと変えていかなければいけません。
そこで、策定した未来ビジョンの中で「若者・子供」「歴史・伝統・文化」に着目をします。若者が将来帰ってきたいと思うまちとはどのようなまちでしょうか。考えの根底には小さいときからの思い出が沢山詰まっているからだと私は考えます。だからこそ、小さいときから多くの思い出をこのまちで作ってあげましょう。結果は10年後20年後かもしれません。思い出といっても楽しいことばかりではなく、辛かったことや苦しかったことも成長させるひとつのコンテンツです。またオンライン化が進んでいる今だからこそ、人の温かみを感じ取れる運動を構築していきましょう。
また2019年の年末に初確認され、瞬く間に世界でパンデミックとなった新型コロナウイルスについて、誰がこんなに長期化すると思ったでしょうか。今も尚続く新型コロナウイルスとの共存において地域の方々の多くがコロナ禍での生活が当たり前となり、経済を循環させるためにもこれまで通りの水準に戻そうと運動を構築しています。この新型コロナウイルスの発生はプラスに捉えると、我々が教えを乞う機会になりました。三密を避けるべく人やモノとの接触を控えるためにも、リモートワークやリモート会議、タッチパネルの導入などが急速に進み、コロナ禍でどう過ごすのか、そのときの状況に常に対応すべく、世の中は変化をしています。今を生きる我々青年は明るい豊かな社会を築くために、未来を見据え、変化や進化を繰り広げ、運動の火種を起こし、好循環となる地域を創造していきましょう。
【広報】
我々が平田未来ビジョンに向けた運動を行う上で、地域の方の協力は必要不可欠です。我々だけが行動を起こしていくのではなく、地域の方に共感、理解をしていただき、巻き込んでいかなければ運動は広がりをみせることはありません。その為にも広報が重要となってきます。広報とは「PR」と表現されることもあります。PRとは、”Public Relations”の略で「Public=一般の人々」と「Relations=関係性」をつくるという意味です。ただ発信することが広報ではありません。より円滑に運動を遂行するために、我々の活動内容を地域の方に正しく認識してもらい、対話などを通して信頼関係を構築していくことが重要です。
現代においてはSNSでの広報がとても有効な手段といえます。しかし、SNSだけでは関係性は生まれません。私たちは青年会議所での経験を通して個を磨いています。是非ともSNSの活用はもちろんのこと、自分自身が一番の広告塔になってください。
またこの情報化社会だからこそ新たなツールにも着目をし、率先して活用し、今後の社会を担っていく青年経済人としても成長していきましょう。
会員拡大については毎年の課題です。昨年創立55周年を迎え、これまで活動できているのは、入会してくれる同志がいるからです。私は先輩から「青年会議所は入会する前と入会した後では目的が変わる団体だ」と言われたことがとても印象に残っています。なぜなら私自身がそうだったからです。入会前は仕事に繋げるためという入会目的でしたが、今ではこのまちのため、ひとのために地域貢献したいという目的に変わっています。それはこれまでの青年会議所での教えや事業を通じ、このまちの発展を願ってきたからです。「このまちが好き」こう思う人は私だけではないはずです。むしろほとんどの方が地域に愛着をもっています。組織に縛られるのを好まないひとも多く、想いは同じでも「個」で行動される方も多くおられるのも現状です。しかし、何かをしようと行動を起こすときに「個」には限界があります。その「個」に足りない経験や知識、団結力が青年会議所にはあります。地域の未来をより良くする運動を起こすために、多くの同志を増やし、熱い心で地域の課題に挑戦し、運動を起こしていきましょう。
【結びに】
「全力」という言葉には、力の限りを尽くすという意味があります。ひとつの事業を創造するには相当のエネルギーが必要です。そして全力で創りあげたことには、全員が全力でこたえましょう。言葉は己を奮い立たせ、行動は地域を動かします。私たちが行っているすべてに自信をもち、結果は必ずでると信じ、全力で魂をぶつけていきましょう。